ニュース

街の想いを活かしたロケ受入支援! 東京23区で最初に設立されたフィルム・コミッションを取材

関連キーワード

上野 下町 台東区 浅草

上野アメヤ横丁や浅草などで知られ、年間300本以上ものロケ撮影が行われる“芸能の街”台東区。そこで観光PRを目的に、区民の想いを活かしたロケ受入支援を行う台東区フィルム・コミッションを訪問し、その取組についてスタッフの行木さんと平田さんにお話を伺いました。(※行木氏は平成28年4月に他部署へ異動しました。)

台東区の隅から隅までを熟知
街にも制作会社にも心強いロケ受入支援を


—まず、台東区フィルム・コミッションについて教えてください!

行木:我々は台東区の観光PRやイメージアップを目的に、平成16年に設立されたフィルム・コミッションです。基本的には、街に特化したロケーションのコーディネートを念頭に置いて、ロケ受入支援を行っています。

—1年間でどれくらいの作品数を支援されているんですか?

行木:映画やドラマ、バラエティ番組、PVなどいろいろな作品の支援を行っていまして、平成26年度だと相談数が1,172作品、そのうち実際に支援したのが337作品です。

—ほぼ毎日、何らかの撮影が行われているような感じですね。

行木:連続ドラマだと1作品で数話分の撮影がありますが、それもまとめて1作品としてカウントしていますので、ロケ撮影件数で言えば実際はもっと多くなりますね。

—どのようなロケ地のニーズが高いですか?

平田:やはり台東区らしい下町風景を求められることが多いですね。最近では、谷中の下町を舞台に映画『の・ようなもの のようなもの』(2015)の撮影が行われました。

谷中の公園で行われた映画『の・ようなもの のようなもの』の撮影風景。キャスト3名が公園の椅子に座っている。

—やはり区内の新規ロケ地開拓も?

平田:そうですね。私は台東区フィルム・コミッションに入ってから約10年になりますが、台東区の街の隅から隅まで熟知するために、平日休日を問わず空いた時間を使って、自転車で台東区中を駆け巡っていました。

インタビューに答える平田さん

—それはすごい!もう頭の中に台東区の地図が入っているような感じですね。

平田:それはもう大前提ということで。映像制作会社からのスピーディな問い合わせに応えるために必要なことです。いまも区内の不動産屋に飛び込みで行ったり、制作会社の需要が高いロケ地をリサーチしたりして、新規開拓に取り組んでいます。

—他に、ロケ受入支援をするにあたって工夫されていることはありますか?

平田:制作会社から問い合わせがあった際は、作品の内容や探しているロケ地のイメージについて、できるだけこと細かくヒアリングするようにしています。

—具体的にはどのように?

平田:例えば、公園のベンチひとつをとっても、何人掛けか、何色か、古いタイプか、現代風なタイプなのか、などですね。支援する以上は、いい絵を撮ってもらうために、作品づくりにできる限り協力します。

—とても心強い支援ですね!

平田:それから、撮影スタッフ人数や撮影の時間帯もきちんと把握しておきます。公園のベンチといえど、何時間も専有してしまうのは、近隣住民の方のご迷惑になってしまいますからね。

ロケ地の紹介から撮影現場の立ち会いまで
フィルム・コミッションは街を守る“代弁者”

商店街で撮影を行っている風景。

—平成26年度は、相談数が約1,000件で、実際に支援したのが約300件。ロケ地支援の可否を決める基準は何かあるんでしょうか?

平田:我々は、可否の判断基準は街や地域の意思にあると考えています。まず街の人が「(撮影を)いいよ」と言うかどうか。例えば、ホラーや殺人シーンは街で撮ってほしくない、とかですね。我々は、区民の皆さんの税金をいただいてやっているフィルム・コミッションであり、台東区のPRを目的に活動しているということを一番大事にしています。

—なるほど。撮影の現場にも必ず立ち会っているとお聞きしました。

平田:撮影現場って、街にとってみれば、工事現場のようなものでもあるんです。街の人が「イヤだな」と感じるようなことが行なわれてしまう可能性もゼロではない。ですから、我々スタッフが足を運んで、撮影がきちんと安全に行われているのか、街からクレームになるようなことが起こっていないかを最後まで見届ける必要があります。もし起こってしまった場合は、制作会社と一緒に、誠意をもって街にお詫びをしなければいけません。

インタビューに答える平田さん

行木:いま平田が言ったことが、まさに台東区フィルム・コミッションの根幹の部分です。制作会社のニーズに応えてロケを支援することはもちろんですが、いざ撮影に入れば、今度は街の人たちの代弁者になる。時には、制作会社に対して「その撮影は街の人に迷惑がかかるからNGです」と注意しなければならない場面もあります。

インタビューに答える行木さん

平田:ですから、我々としてはロケ地の紹介だけをして、撮影当日に現場に立ち会わないというのは考えられない。撮影から街を守る役割もきちんと果たさないと、街の人たちからの信頼を得られないですし、次につながっていかないですよね。制作会社はもとより、街のためのフィルム・コミッションであるということを常に念頭に置いています。

ロケ地がファンの聖地に!
その成果をどのように“見える化”すべきか

—フィルム・コミッションの成果は数値化しづらいと聞いたことがあります。台東区さんではいかがでしょうか?

行木:それについては、どのフィルム・コミッションさんもそうではないかと思うんですが、実は我々も模索しているところです。いま我々は支援作品数を成果のひとつとして算出していますが、作品数が多ければいいのかというと、そういうものでもないと思っています。

長机の上に並べられた映画のパンフレット

平田:これは成果を実感したエピソードなのですが、以前、あるアイドル主演のTVドラマが、台東区内にある小さなもんじゃ焼き屋を舞台に撮影されたことがあったんですね。そのお店って、普段であれば近所の方をメインのお客にした小さなお店なのですけど、放送後にファンの方が大勢来店してくれて、一気に“聖地化”したんです。

—それはすごいですね!

行木:ただ、それも数字にすると、たくさんあるうちの1件としてカウントせざるを得ないというジレンマがあるんですね。

—なるほど。よく「経済効果○○億円!」という風に、成果が打ち出されることもありますよね。

平田:ええ、ただそういった表現は信ぴょう性に欠けると我々は思っています。NHKドラマ『あまちゃん』(2013)で上野が舞台になった時は、もしかするとそれくらいの規模の効果があったかもしれないですが、その数億円を算出する方程式って実際はかなり概算になってしまうのではないかと。
我々は、自治体の活動として取り組んでいる以上は、各フィルム・コミッションで共通で使える統一した算出方法を作って、それぞれの成果をきちんと「見える化」すべきなのではないかと考えています。

インタビューに答える平田さんと行木さん

行木:最近では、他の区や自治体からもフィルム・コミッションを立ち上げたいということで、うちに相談にいらっしゃることも多いんです。でも、成果が見えにくいことがネックのひとつになって、なかなか立ち上げまで進まないという状況もあるようなんですね。

平田:その街に、ロケ受入支援による効果を肌で実感したことのある人が、どれだけいるかということも大切なのかもしれません。幸いなことに台東区は観光立区ですし、街がメディアに露出することで集客が増えたとか、売上が伸びたとか、効果を実感している人が多くいらっしゃるんだと思います。

—それは「芸能の街・台東区」だからこそかもしれませんね。

平田:そうですね。もっと言えば、区民の方々が「街をもっとよくしよう」「広くアピールして商店街を盛り上げていこう」と努力しているからだと思います。そうした街の人々の意識があってこそ、我々の活動も活きていると思います。

台東区フィルム・コミッションの窓から望む台東区の町並み。高速道路の高架といくつもの高層マンションが見える。

東京23区最初のフィルム・コミッションとして
よりよいロケ受入支援ができるしくみを作りたい


平田:東京都23区に限って言えば、他の都道府県と比べて面積が小さいですし、もっと他の区と連携をとっていきたいと思っています。現在は、ひとつの映像作品でも台東区で撮影をして、台東区にないロケ地は他の都道府県で撮影をするというケースも多いんですね。

—たしかに1本のドラマのエンドロールで、いくつかの都道府県のフィルム・コミッションの名前が出てくるのを拝見したことがあります。

平田:もし23区でもっと連携を深めていければ、他の都道府県にわざわざ行かなくても、台東区と近隣の区で撮影を収めるということが可能になる。 それが実現できれば、制作会社にとっても移動が少なく済んで撮影もスムーズですし、その作品のファンの方は気軽にロケ地巡りを楽しめる。連携することで、より大きな盛り上がりを作れると思うんです。 

神社の前でバスガイドの案内に耳を傾ける観光客たち

そうすると、他の都道府県とのロケ地合戦になってしまうかもしれませんが、そこはそれぞれが魅力を発信しながら、いい意味で切磋琢磨していければよいのではと思います。

—都内はもとより、国内全体のロケ受入支援も盛り上がりそうですね!

平田:相談に訪れてくれる他の自治体さんにも、我々をモデルとして参考にしてもらいながら、それぞれの地域の特色を活かした新しいフィルム・コミッションのやり方を見つけてもらいたいと思いますし、ぜひ我々も協力していきたいと思っています。

行木:台東区フィルム・コミッションは23区内で最初に設立されたフィルム・コミッションです。そういった意味でも、やはり他の自治体を引っ張っていく役目も担うべきなのかなと。その責任感を持っていますし、今後は他の地域のことも含めて考えながら、よりいい支援を実現していきたいですね。

映画のポスターが数多く貼られた壁の前で記念撮影する平田さん、齊藤さん、行木さん
左から平田さん、齊藤さん、行木さん。


—行木さん、平田さん、齊藤さん、お忙しい中ありがとうございました!


■台東区フィルム・コミッション
台東区役所 文化産業観光部 観光課内
受付時間:8:30~17:15(土日祝日・年末年始除く)
電話:03-5246-1434
URL:http://taito-filmcommission.jp/
メールアドレス:info@taito-filmcommission.jp
Facebook:https://www.facebook.com/taitokufc/

都内ロケ支援窓口

東京ロケーションボックス
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
PAGE TOP