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ロケ支援を通じた地域活性化を考える!講習会レポート

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2016年11月、東京都産業労働局観光部の主催で、都内自治体をはじめとしたロケ受入担当者に対する「ロケ受入担当者育成講習会」が開催されました。
ここでは、ロケ受入を通じた地域活性・観光振興や道路使用許可手続方法についての当日の講義要旨をお伝えします。

 

NPOとしてのフィルム・コミッションのあり方

~「えひめフィルム・コミッション」のケース~

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講師:泉谷昇氏(えひめフィルム・コミッション/ジャパン・フィルムコミッション理事・四国ブロック長)

 

地域を支えながら映画の裏も支える達成感

 

今から約15年前、フィルム・コミッションが国内で話題になり、東京や横浜で始まった頃、アメリカで映画制作を学んだ経験のある自分も、ゼロからやってみたいと思いました。妻の故郷である愛媛県にフィルム・コミッション事業を提案したところ、賛同をいただき、「えひめフィルム・コミッション」の設立に至りました。そして、愛媛県や松山市のフィルム・コミッションの専属職員として勤務しました。

フィルム・コミッションは、映画・映像作品の撮影を地域に誘致し、撮影準備を円滑に進めて、作品を通して愛媛県をPRするのが仕事です。ロケハンでは、観光地よりも地元の路地裏や細道など、未発掘の魅力を中心に探します。

私が最初に手がけた大きな作品は、映画「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年)です。愛媛県庁の前に大通りがあり、その風景を見た行定勲監督が「素晴らしい、ここで撮影をしたい」とおっしゃって、全面通行止めのロケ撮影のリクエストがきました。関係各所と交渉を重ねて、祝日の朝の時間帯で全面通行止めの許可を取ることができたのですが、行定監督からさらに「殺風景になってしまうからクルマを10台程走らせてほしい」と依頼されました。「世界の中心で、愛をさけぶ」は1986年の舞台設定。その当時に走っているクルマを探さなければいけなかった。そこで、大型ショッピングセンターの駐車場で、当時風のデザインのクルマを見つけては「あなたのクルマに興味があります 愛媛県庁観光課 泉谷」と書いた紙をワイパーにはさんでいました。今では怒られてしまいそうな方法ですが(笑)。その甲斐あって、多くの方にご協力をいただくことができました。

そこで参加いただいた皆さんも「映画撮影の支援ができた!」とお話をしてくれている。その結果が表れるのがエンドロール。皆さんも、自分たちのフィルム・コミッションの名前がエンドロールに出てきた時に思わずウルッときた体験はありませんか(笑)。実際にこの愛媛県庁前の通りのシーンが映画に出てくるのは1分ほどですが、地域を支えながら、映画の裏も支えているやりがいや達成感を得られました。

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撮影が実現しなかったロケ地の情報も活かしたい

 

愛媛では、年間40本程度の作品の撮影を支援しています。映画は年に1本か2本。それ以外では、TVの旅番組やグルメ番組ですね。ある映画では、「山も川も、愛媛には自然がばっちりあります」と提案しましたが、細道をロケバスが通れないという理由でNGになったこともありました(笑)。そんなことがしょっちゅうあります。

提案したすべてのロケ撮影支援が実現するというのは不可能に近いんですね。実際に撮影まで進むのは3割程度。それを踏まえて、各地のフィルム・コミッションは、その3割のロケ地を活かしてロケ地マップを作り、ツアーを組むという施策を始めました。すごくいいことです。ただ、私は採用されなかった7割も含めて、そのロケ地情報を他に活かす方法を考えました。

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実は、愛媛県の人たち自身が、自分たちの地元の良さを知らないのではないかと気づいたんです。ロケハンや取材で愛媛の街を訪れると、訪れた先の地元の方は「こんな何もないところに何しに来たの」というリアクションをよくされていた。こんなに素晴らしい景色や風物があるのに、地元の方々は日常として慣れ親しんでいるがゆえに、その魅力に鈍化してしまっていた。だから、地元の方々が自分の住む場所の魅力を再発見する活動をすべきなのではないかと考えたんです。

こうして、フィルム・コミッションだけではできない活動だと思うようになったのをきっかけに退職し、愛媛の魅力発信を目的に活動するNPO法人「いよココロザシ大学」を立ち上げました。愛媛県からフィルム・コミッション事業を請け負ってはいますが、それだけではありません。

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撮影のない265日は大事なアイドリング期間

 

「いよココロザシ大学」には、320名以上の「市民先生」と呼ばれる地元にいる各分野のスペシャリストがいます。年齢や性別を問わず、いろいろなジャンルの経験者・技術者の方に先生になってもらって、愛媛の魅力を発掘しています。そこでは「課外授業」もあり、県内のさまざまな場所に行きます。実はそれがロケハンにもなるんですね。

愛媛では、年間の撮影日数は100日くらい。残りの265日は、撮影に向けた準備をするアイドリング期間になるわけです。その準備にあたるのが、「課外授業」です。「課外授業」を通じて各施設の担当者とお会いしてつながりをつくっておくと、いざ撮影の依頼が来た時に声がかけられます。これまで授業は500回以上、2万人以上の市民の方に参加していただきました。参加者には、エキストラ出演の相談もしています。ちなみに、「えひめフィルム・コミッション」はエキストラ制度を持たず、こうした地元のネットワークから参加者を集めています。

フィルム・コミッションは、ロケ地を探すのが主と思われている方は多いと思いますが、地方では場所だけでなく、台本に肉付けされる土地の伝統文化や習慣を探す必要もある。地元の目には見えない価値を見つけ出すことも大切です。

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余談ですが、ロケ地を写真に撮る時は、ポストカードのようなきれいな写真を撮っても無意味だというお話を聞いたことがありますか? きちんと演技できる場所も含めて撮らないといけない。例えば、崖の末端ひとつにしても、末端から撮ってもダメなんですね。演技できる空間・スペースも含めて崖の末端を撮るのが基本です。

アニメ作品にも注目すべき

 

興行収入をベースにした年間の映画ランキングをみると、現在の邦画は、実写映画よりもアニメ映画が多くランキングを占めている。例えば、2014年は「ドラえもん」「ルパン」「名探偵コナン」「ポケモン」。この現象は2015年も続いていて、1位は「妖怪ウォッチ」。その他、「バケモノの子」をはじめアニメ作品が名を連ねています。今の日本の映画で強いのは、実写ではなくてアニメなんですね。

今後皆さんが、発展的に何らかの作品を誘致して支援するのであれば、アニメ作品に着目するのもひとつだと思います。愛媛県の西宇和はみかんの産地として有名で、今「クレヨンしんちゃん」とタイアップして頑張ってPRしています。他にも、松山市は「サザエさん」のオープニングの映像で扱ってもらったりもしています。というように、アニメが地域の魅力を発信するツールに十分なり得るということがおわかりいただけると思います。

 

■現役警察官が指南!ロケ撮影における都内の道路使用許可手続

公道で撮影をする際は、道路交通法77条に基づき、各管轄の警察署に申請を出して許可を取る必要があります。

許可申請時は、警視庁ホームページにある申請書、カメラの位置・向きと誘導員の配置を記載した現場見取り図の二つを用意し、さらに作品の企画書や台本も添えるとスムーズです。

申請から許可が出るまでの期間については、各警察署でそれぞれ違うものの、早いところでは中1日で申請が下りる署もあります。

レールや台車を使った撮影、クルマを動かしての撮影については、原則許可をしない警察署が多くなっています。クルマについては、セーフティーコーンやコーンバーを設けて、撮影の一部として車両を置くことは認めていますが、資機材車や人員搬送車については、現場付近に駐車・待機することなく駐車場を利用するように促しています。

撮影にあたっては、交通整理のための誘導員を必要数配置して事故防止に努め、警察官の指示に従い、状況によっては撮影を一時中止することにもきちんと対応してほしいです。こうした許可条件は、許可書に記されているので、事前に必ず目を通し、現場でも忘れずに許可書を携帯していただければと思います。

警察は、基本的に撮影を許可する方向で動いています。各署に事前に相談をいただき、いい映像作品をつくってほしいと考えています。

 

【質疑応答】

 

質問1:制作会社から「台本の内容でロケ撮影に対する道路の使用許可が断られてしまうことがあった」という声がありました。許可の判断は各警察署でされているのですか?
回答1:それぞれの警察署で、今まで扱ってきた実績や管内の特色を鑑みて判断しています。その基準は、警視庁の本部で設けてはいますが、詳細な内容についてはそれぞれの署の判断になります。

質問2:不許可になりやすいポイントはありますか?
回答2:交通の安全と事故防止、円滑な撮影を確保できない場合は、許可できません。

質問3:撮影のための駐車は基本的には認められていないとのことですが、実質的には現場付近に駐車をしているケースはありませんか?
回答3:道路使用許可では、駐車の許可は出せません。ただし、セーフティーコーンなどで「この区域内は撮影の現場です」ということでスペースを確保してもらって、その中にクルマを置く分には構いません。その区域の広さも必要以上にとることは難しいですが、それもケースバイケースで内容を見ながら窓口で判断をしています。

 

~東京都によるロケ撮影支援~

東京都では、都内における映画やテレビドラマ等のロケ撮影の円滑化を図ることで、映像作品を通じて東京の魅力を国内外に発信し、観光客誘致を促進するため、ロケ撮影支援窓口「東京ロケーションボックス」を運営しています。
「東京ロケーションボックス」のHPでは、ロケを支援した作品の紹介などをおこなっています。是非、一度ご覧ください。

【「東京ロケーションボックス」HP】
http://www.locationbox.metro.tokyo.jp/

また、こちらの記事もあわせてどうぞ!
【FCP特集記事これからのロケ地支援の可能性とは!?東京都のロケ撮影支援窓口「東京ロケーションボックス」に訪問取材】
https://tokyo-app.com/special/sp004/

都内ロケ支援窓口

東京ロケーションボックス
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